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保険・リスクマネジメント

西日本豪雨で被災して、皆さまにお伝えしたいこと

「道路が川になっとる!?」

車から降りようとドアを開けたとき、既に車中に流れ込んできそうなくらいの高さまで濁流が来ていました。

妻子を安全なところへ逃がしたあと、私は、一晩中、成すすべもなく自宅2階からその濁流を見ていました。(私の車は流木に遮られ脱出不能でした。)これは、2018年7月6日夜のことです。西日本豪雨災害で被災してしまった私から、皆さんにお伝えしておきたいことがあります。

1.事前防衛策

被災して初めて、事前の防衛策がいかに大事かを身をもって知りました。

私は、事前対策として、豪雨の翌日に土嚢(のう)を近所の方々とそれぞれの家の周囲に積み上げました。水が入ってくるのを防ぐためです。土嚢袋を常備しておくことは出来るかもしれませんが、袋だけでは役に立ちません(私の場合は、流れてきた土砂を詰め込んだのですが、それでは後手でした)。そんなときには、「水のう」という手があります。大きめのビニール袋(ごみ袋)を2重か3重にして中に水を入れて口をねじってしっかりと縛ります。こうすれば土嚢代わりに使えます。

それより何より大事なのが、実際に災害が発生する前の地域情報収集です。自宅・職場の地域情報を収集しておく。この地域にはどんな危険が潜んでいるのかを、以下①②の手段で知ることができます。

① 公共機関が発行しているハザードマップ(自然災害被害予測地図)で確認する(ただし、二級河川等だと取り上げられていないことも多いです)。
② 地域の災害の歴史を知る。これは、公民館などで調べることができます。先人からの教訓として、100年以上も前に起こった水害の供養石碑の存在が分かったり、旧地名に隠された災害の歴史が分かったりします。

2.災害発生中や直後の注意点

次災害発生中や直後も思わぬ注意が必要でした。今は、ネット環境とスマホなどの普及でSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などによって、いろいろな情報が即時に出回ります。今回、本当にデマが飛び交いました。「鉄砲水が出るから避難して!」みたいなのがSNSを通じて。そして、避難した家で盗難被害が発生してしまいました。こんなときにこんなことをする人がいるのか!(怒)と悲しくなりました。とは言え、デマかもしれないけれど命には代えられないから逃げておきたいのが心情。防衛策としては、以下①~③が考えられます。

① 情報はできるだけ多くの方面から仕入れる。
② 情報の出所を調べる(私の場合、役所の災害対策室に確認しました) 。
③ 避難時は、戸締りはしっかりとし、持ち出せる貴重品は持っていく。

3.事後防衛策

自然災害に対応できる火災保険に加入しておく。保険は、(万が一に備えて事前に加入するものですが)事後に経済的負担を補うものです。

★★補償内容のチェックポイント★★

(1)水害時に補償されるものは何か?
(2)水害補償に条件が付いているか、いないか?(←特に見落としがちです。要チェック!)
(3)地震被災時に補償されるか?

4.国の支援より早く届くもの

国などからの支援(支援金・義援金)よりも早くお届けできる可能性が高いのが保険金です。しかし、加入していなければ保険金も出てきません(加入の仕方によっても違いが出ます)。

私自身の今回の被災体験をもとに、一例を紹介します。

自宅は、床下浸水。車が水に浸かりました。
最近の家は、外から床下を覗くことができません。見た感じ密閉されています。しかし、水は家まで来ていました。床上までは来ないよう防ぎましたが。車は、出来るだけ水に浸からないよう動かしておきましたが、浸かってはしまいました。翌々日には、何とかエンジンはかかりました。

このような状況で、私個人については、

・国や県からの金銭的支援は受けられませんでした。支援条件が、床上浸水だったからです(ただし、税金面や土砂除去に使用した水道料金で免除された部分はあります)。
・加入していた火災保険は、水災も補償範囲ではありましたが、これも同じく補償条件に当りませんでした。
・車は、被災後、3カ月の間に4回もエンジンストップしてしまい先日ついに廃車となりました。こちらは、車両保険に加入していたので保険金の支払い対象になりました(個別の補償内容の話になってしまうので、詳しくお伝えできなくて申し訳ありません)。

今回のような水災で、国より早い支援である保険を十分な備えとするためのチェックポイントを、簡単にお伝えしておきます。

(1)店舗・事務所など向けの火災保険では、床下浸水に対応できるものがあります。また、 マイホーム用の火災保険では、一定の条件を満たせば床下浸水に対応できるものもあります。
(広島での水害で、特例処置として、床下浸水でも一定の条件で一時金が支払われた例がありました。)

(2)自動車保険は、車両保険にも入っていないと水災補償はありません。
(同程度に消耗した自動車の市場販売価格相当の補償です。)

5.発生から4カ月たって思うこと

目に映り込んでくる被災状況は、日を追って改善されていきます。それは、地元住民が隣近所力を合わせて復興作業をするから、そして、毎日のように各地から駆け付けてきてくれるボランティアの方々、自衛隊や消防、警察の方々の力があるからです。特にボランティアの方々には手を合わせて御礼を伝えたい気持ちでいっぱいになります。正直、その姿を思い出すと今でも涙が出ます。

目に見えない被災は深刻です。特にまだ心が育ちきっていない子どもたちは。たとえ自分の家に大きな被害が出ていなくても、一歩外に出るとあちらそちらには土嚢や被災ゴミの山。これが心の中にズシンズシンと積まれていってしまうようです。この心のケアは、街が復興しても一生続くのではないかと思います。

そして、被災から数日後、数ヶ月後に表に出てくる被害にも注意しなければなりません。テレビやラジオで取り上げられなくなった頃にもそれらは現れてきます。年々、大規模な自然災害が多くなってきています。予想できないことが多いので、やはり万が一に備えておくことがとても大事です。事前防衛(防災)と事後対策(保険など)を出来る限りのことは、しておくべきです。

こうした実体験や、様々なお客さまと積み重ねてきたノウハウをもとに、ウィッシュが力になります。どうぞ、お近くの弊社支店のリスクコンサルタントにご相談ください。

参考までに、以下に参照いただくと良いサイトを紹介いたします。

◆内閣府「大雨に備えよう!自分で、みんなで取り組む豪雨対策を

◆総務省「平成30年7月豪雨災害被災者の皆様への生活支援情報案内

◆国土交通省「浸水・冠水被害を受けた車両のユーザーの方へ

 

(広島中央支店)

 

 

投稿日:2018.11.19

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